手を打つって言っても、手元にパソコンもなければ仲の良い人もいないから情報なんて入ってきやしない。
だから。
「なんかあったのか?」
「んー、何もないよ。パソコン、借りていい?匡ちゃん」
理事長室にやってきた。
ここならパソコンもあるし、理事長である匡ちゃんならあいつらのこと詳しく知ってるだろうし。
無駄に多くあるパソコンを指差して言えば”思う存分”という素敵な返しを頂いたので、言葉通り思う存分使わせてもらう。
「サクラ。言わなきゃいけないことがある」
カタカタと指を動かして知りたい情報を探っていたら、珍しく真面目なトーンで匡ちゃんに言われた。
「うん、私もある」
「ん?なんだ?」
色々と聞きたいんだよね。
––––––––獅子のこと。
「獅子のこと。」
ただ、それを呟いただけなのに何故か流れる沈黙。
「……遅かったか」
その沈黙を破ったのは困惑した声だった。
「どういう事?」
「いや、俺の話も獅子についてだ」
なんだ。なら話が早いじゃん。
って言っても知りたいことはほとんど知れたし今更聞くことは余りない。
「ある程度知りたいことはコレで知れちゃったから匡ちゃん話していいよ」
目の前にあるパソコンを差しながら振り返れば難しい顔をした匡ちゃんがいて。
「匡ちゃん?大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。…で、獅子に入るのか?」
やっぱりその質問か。
いや、逆に匡ちゃんの話が獅子って事はそれしかない。
「入らないよ。もう関わらないって決めたから」
「……彼奴らはなんて?」
さすが匡ちゃん。この会話だけで奴らが私の出した答えにYesと答えてないことを見破るなんて。
それだけ、彼らのことを知ってるってことか。
私が調べた情報が正確ってわけではないけど、匡ちゃんから直接聞くのよりかは信憑性に欠ける部分がある。
後でアレを聞いてみる価値はあるか…。
「毎日倉庫に通えだって」
「……」
「それを黙って頷く私ではないの知ってるでしょ?」
「ああ、けど……」
「大丈夫。条件出してきたから」
「条件…?」
「そ、条件」
「内容は?」
仁人と同じ探るような目に思わず笑ってしまいそうになるのを堪えた。