「「「「はぁあ?!」」」」
声が一つ多いと不思議に思ったが、それよりも私と一緒に声を上げている辺り、青髪君も眼鏡のお兄さんも今初めてそんなことを聞かされたようだ。
コイツは何を言ってるの?
言っている意味がよく分からなく、聞き返そうかと思って口を開きかけたその時。
「仁人それ嘘だよな。冗談だよな?」
いつの間にか部屋に入ってきていた男の子が仁人に向かって猛抗議し始めた。
ああ、さっきの声の主はこの子か。
それにしてもまあ、目を見開くほど私の隣に座っている青髪君と仁人に般若のような形相で迫っている男の子はそっくりだ。
髪型も髪色も顔立ちも身長も制服着こなし方もピアスの数も見間違えるほどに全く同じだ。
これが世に言うドッペルゲンガーってやつか。
「あっ」
「ちげえよ。双子だよ」
思った時には既に時遅し。
私に背を向けて仁人に迫っていた男の子が勢いよくこっちを振り返ると鋭い目で睨まれながら双子だと訂正された。
それだけ言うと私を視界に入れたくないのか素早く仁人の方に向いて猛抗議を開始する。
「仁人!!この女がここに通うとか嘘だよな?!」
「……」
「今時、瓶底メガネかけて膝下スカートにお下げっていうバカなクソな気持ち悪い格好した女だぞ!!」
「……」
「女が視界に入るだけで吐き気吐き気吐き気ムリムリムリ冗談じゃねぇ!!!!」
「……」
……酷い言われようだな私。
つか、私も好きで今時こんな典型的な昔の優等生の格好してるわけじゃないわ!
無言で第二の青髪君の言葉を聞いている仁人も仁人だ。
ここにいる皆んなにわかるように一から全て説明していただきたいことだ。
それに、その無言が彼の言うことを全て肯定しているようでムカつく。
「サ、サクラちゃん…顔すごいよ…」
仁人を睨みつけていたら隣に座っている青髪君が顔を引き攣らせていた。
教えてくれたのは嬉しいんだけどもっとソフトな教え方ってもんがあるでしょ。
「顔すごいよ」ってストレートに傷つくやつだし私じゃなかったらきっと今頃青髪君ボロクソ言われてるよ。
「女の気持ちわかってない!」とか「もう青髪君なんて嫌い!」とか。
なんてことを考えながら軽く現実逃避をしていたら。
「…もう決まったことだ」
無理にでも現実に引き戻されるような声が聞こえてきた。
……本当、勘弁してよもう…。
