「俺の名前聞き逃げするのか?」
少し低い声で言う仁人はどうしても私に言わせたいらしく睨んでくる。
そんなに睨まれたって私は言うつもりないし、それに
「聞き逃げも何も貴方が勝手に名前を言っただけでしょう?私は教えてなんて一度も頼んでないわよ。それに、知る意味なんてないでしょ」
ここに来るのもこれから先、一生ないんだから。
これが最初で最後なんだから。
「意味はある」
「どんな意味があるのか是非とも聞いてみたい」
そう言えば、1人がけのソファーに踏ん反り返るように偉そうに座る仁人はニヤッと口角を上げて
「明日からここに通え」
爆弾を投下した。
