紅〜kurenai〜





「入れ」






さっきからずっと、「遅え」だの「降りろ」だの「入れ」だのいちいちイライラする。お前は私の何なんだって思って奴を睨むが軽く受け流されて終わる。



倉庫の入り口から一直線に進んだ突き当たりにある階段を上って二階に上がればそこは案外広々としていて。




右に3つ、左に2つ扉があり中央には大きい机とそれを囲むようにコの字型にソファーが配置されている。



その机とソファーを挟んで向かい側。

階段から一番遠いところにある一番でかい扉。








言われなくなってわかる。


そこが何の部屋なのかも誰がいるのかも。





そして、その部屋に入れと促している赤メッシュ自己中野郎が何者なのかも。








ここに入ることが何を意味するのかも。



だからこそ、目の前の二人にバレないように何とかしてこの部屋に入らなくて済む言い訳を必死に探すが当然見つかるわけもなく。