「…はあ。どこ行くの?」
どこに行くかも告げられずただ引きづられてきた私は何故か校門ではなく裏門に連れてこられ。
うーんさすが不良。
としか言えない。
つか、行き先言えっつーの。
「んー、言っちゃうとサクラちゃん何が何でも逃げちゃうでしょ?だから着くまでの秘密!」
音符が付きそうな勢いで可愛く言ってるけど、ソレとコレとは話が別だ。
要するに、私が逃げ出したくなるような場所に行くってわけね。
はぁ。とバレないように小さく溜息を着けば。
「おせえ。」
裏門にぴったりと駐車されていた黒塗りの高級車に腰掛けて煙草を吸うこの男。
赤メッシュ野郎。
「別に待ってろなんて頼んでませんけど」
「昼、迎えに行くと言った」
「それは貴方が勝手に言っただけでしょう?」
「チッ…乗れ」
そう言って煙草の火を消して助手席に乗り込む自己中男の赤メッシュ。
いやいやいや、舌打ちしたいのはこっちだっつーのっ!!!
そっちが勝手に迎えに行くとか言ったんでしょ!
それに私はウンとも答えてなければ分かったとも答えてない。
それなのに「おせえ」だ?
んなこと知るか。
「まあまあ、とりあえず乗ろっか」
そう言ってドアを開けて私の背中を押す青髪君。
中を除けば既に銀髪の奴が座ってた。
後ろには青髪君。
要するに、この車に乗ることしか私には選択肢がないってわけね。
「出せ」
私と青髪君が乗ったのを確認すると運転手に向かって一言言い放つ。
「で。私はなんで誘拐されなきゃならないの?」
こんな堂々とした新手の誘拐初めてされたよ。
誘拐自体されることもなかったのに。
そんな私を吃驚したように見つめてくる青髪君とお前バカか?とでも言いたそうな顔で見てくる銀髪と
「…お前面白えな」
くすりと笑う赤メッシュ野郎。
「そりゃ、どーも」
赤メッシュ野郎の言葉をとりあえず褒め言葉として受け取っといたけど、私の質問に答えてもらえますかね?
「赤メッシュ自己中男さん、私はなんで誘拐されてる訳?」
「サ、サクラちゃん?!」
今度は、更に吃驚した顔の青髪君と既に興味がないのか我関せずと寝ている銀髪と
「赤メッシュ自己中男とは俺の事か?」
口元に笑みを浮かべながらどこか楽しそうな赤メッシュ野郎。
「貴方以外に誰がいるんですかね?」
「やっぱお前面白えな」
うん、面白いのはわかったから。
いっこうに質問に答える気がない赤メッシュ野郎にもう聞く気が失せた私は着いたら着いたで考えようと思いフカフカの座り心地が良い座席に背中を預けた。
この座り心地なら銀髪も寝たくなるわね。
1人納得して私も眠ろうと目を閉じる。
