紅〜kurenai〜



放課後迎えに来る?


そんなの言われたっけ?

まずそもそもこの学校でそんな迎えを頼むほど仲良い人なんて私にはいないんだけど。


「体育館裏の野原で言っただろうが」


忘れたのかよとでも言うようにここに来て初めて銀髪の人が口を開いた。



鋭く冷たい目と同様に声色も冷たい。


まぁ、私にはそんなことは関係ないからどうでもよくて。



「仁人が言ってただろうが」


チッと舌打ちして不機嫌オーラだだ漏れの銀髪だけど、その仁人って人がわからないんだから仕方ないでしょ。


そもそも、なんで私がこんな不良に絡まれてるのかがわからない。

私はただ、平和に過ごしたいだけ。

平和に登校して、平和に授業受けて、平和にお弁当食べて、平和に野原でお昼寝して、平和に下校して…………っん!?




平和に野原でお昼寝?


うん、ここに来てたから毎日というように平和に野原でお昼寝してた。



のだが、今日の記憶を辿ってみると…



いつも静かな周りがうるさくて目を開けたらしない人がいて。
そう、まさに今目の前にいる人たちと同じ様な髪型と髪色で。
何故か驚かれて凄い整った女子よりも可愛い顔をした男子がなにか言いかけたんだけど、恐ろしいくらいに顔が整った黒髪メッシュの男を見つけた私が遮っちゃって…………………。















思い出した…。


この2人、お昼寝して起きた時に1番に視界に入ってきた人たちと同一人物だ。



「思い出したみたいだね」




クスクス笑う青髪君に若干苦笑い。



そのままのノリで帰ろうと試みる私だけど


「じゃ、じゃあ、私はこれで……」



「諦めてついてきてね〜」



ガッチリと腕をホールドされてしまったので逃げ出すことすらできない。





はぁ…溜息しか出てこない。


なんで私携帯取りに帰ったんだろう。
別に明日でも……良くないな。



いや、携帯置き忘れた私がいけないのか。
そもそもコイツらに言われたことを忘れてなければ良かったんだ。



あれこれ言い訳したって意味がないのはわかってるだけどさ。
そうしたところで両腕をガッチリホールドされてる事には変わりないんだし。