「やっと帰ってきた〜!」
中に入ると見たことない人が2人いて、1人は携帯弄ってダルそうに椅子に座っててもう1人はニコニコ笑顔でこっちを見てる。
帰ってきた?誰が?
キョロキョロと周りを見渡すが今この部屋に入ったのは私以外に誰もいない。
だけど
「誰ですか?」
私の知り合いにこんな青髪でそこらの女子よりも可愛い子なんていない。
ついでにこんなに目つきの悪い銀髪も。
とりあえず無視して自分の机の中から忘れていった携帯を取り出す。
机の中に入ってなかったらどうしようって思ったけど、しっかりと入っていたから一安心。
「あ、ちょっ!ストップ!!!」
用事も済んだし早く帰ろうと思って教室から出ようとした私を止めたのは青髪君の大きな声。
この学校にいる男共よりかはマシだろうけど不良には変わりないし、たぶん私の予想では……
まぁ、不良と関わりたくない私は極力この学校の人と話したくないから、止まる気は無かったんだけど条件反射というかなんと言うか。
止まってしまったものはしょうがない。
「なんですか?」
いつの間にか机に伏して寝ている銀髪と、若干焦りの表情を浮かべている青髪に向き直れば、青髪君に少しびっくりした顔をされた。
「…一応聞いてみるけど。黒崎仁人って聞いて思い当たる人いない?」
苦笑いというより引き攣った笑顔で聞いてくる青髪君。
黒崎…黒崎…黒崎…?
記憶力は比較的というより完璧なほど良い私でも黒崎仁人なんて名前の人は私の記憶の中に存在していない。
「誰ですかその人?」
「ホントに興味ないんだね…」
「はい?」
小さすぎて何言ってるのか聞こえないけど何故か感心したような珍しいような目で見られた。
「何でもないよ。じゃあ行こっか」
座ってた机から飛び降りて、机に伏している銀髪の頭を叩き起こして引っ張ってくる青髪君は見かけによらず意外と横暴。
「いや、あたし帰るんですけど」
「え?」
キョトンと首をかしげる姿はそれはそれはもう美少女並みに可愛い。
が、え?はこっちのセリフだ。
なんで私がこんな知らない人たちと帰らなきゃいけないんだ。
ましてや不良なんかと。冗談じゃない。
心底嫌だとでも言うように顔に出てたのか
「…放課後迎え行くって伝えたはずなんだけど…」
先程と違って遠慮なしに思いっきり顔を引きつらせた青髪君。
