「こんな子この学校にいたっけ?」


「知らねえ」


「仁人は知ってる?」


「……」


「知らないかー」



そんな聞きなれない声に睡眠を邪魔されて薄っすらと目を開ければ。


「あ、起きた!!」


キーンと耳に響くほどの大きな声で叫ばれ


「うるせぇ」


私が思ったことを口にする前に誰かが言ってしまい


「こんなとこで何してんだ?」


いや、今まで寝てたんだから睡眠でしょ。と簡単に想像つく質問をされ。






「誰ですか?」


今度はちゃんと起き上がり目の前にいる3人を見ていう。



「え、キミ俺たちのこと知らないの?」


「初対面なのに知ってたほうが不思議だと思いますけど?」


真面目に答えた私に顔を引きつらせる青い髪をした可愛い男の子と銀髪の鋭い目をした男。



「自意識過剰じゃないけど、この町に俺たちを知らない人がいるとはね〜」


つい最近こっちに引っ越してきたんだから知らない方が当然だと私は思いますけどね〜。


なんてこと言うのも面倒だったから、目の前にいる3人のうち少し離れたところで黄昏てる1人に目を向ける。


「特別に教えてあげる。俺たちにはね……」


「あっ」


「え?」

親切なのか知らないけど何も知らない赤の他人に自分達のことを教えてくれようとした青髪の可愛い男の子の言葉を遮り思わず声が出てしまった。


青髪の子もビックリした声をあげるけど、私の目線は黄昏てる奴に…




黒髪に赤メッシュの、あの男に向いていた。




今の気持ちを一言で表すなら、


「最悪」


なんで、私はこんなところで寝てたんだろう。
なんで教室で寝てなかったんだろう。


今更悔やんだって仕方ない。



「あ、私用事思い出したんで帰りま…」


「霜村 サクラ」



あの時とは全く違った、優しさの含んだ低い声は私の動きを止めるには十分だった。