紅〜kurenai〜







「じゃー、そろそろ私行くね」




あの後、あの頃の話とかあれから何してたのかとか色々な話を匡ちゃんとしてて気づけば昼休み残り5分。


「あんま授業サボるなよ〜。遅刻もな〜」



後ろから間延びした声が聞こえたけどその言い方は教育者としてどうなんだ?


というか

「バレてんのね」


「監視してるからな」


「それ立派な犯罪だから」


ニコニコ笑顔で言ってるけどそれストーカーっていう立派な犯罪ですから。



「冗談に決まってんだろ。ガチで引くのやめろ」



できれば、そういう冗談はやめて頂きたい。


彼奴みたいで殴りたい衝動に駆られるから。



そんな彼奴と匡ちゃんは月とスッポンレベルに正反対。

匡ちゃんが教育の道に進んだっていうのは何となく納得できる。あの中で一番真面目だったし頭良かったから。



「あ、そうだ。屋上って解放されてんの?」


「してない。鍵があれば入れっけど」


ほおほお。なら……


「くれてもいいんだよ?」


「言うと思った。合鍵作るから3週間後取りこい」


「はーい。じゃあまた」


「おー」



今すぐ欲しかったけど、我慢してあと3週間はあの野原で過ごすか〜。


なんだかんだあそこも居心地いいし。


って言ってもあと1週間で夏休み突入だから実質あの野原で過ごすのはあと1週間。




夏休みにワザワザ取りに来いってか。


まあ、こっちが頼んだんだし仕方ないか。


–––––ギュルルルルッ


教室に向かって歩いてる最中、お腹が鳴って気づいたけど。


「お昼食べてないんだった」


今日は2日に1回の寝坊の日だからお弁当持ってくるの忘れたし購買ももう閉まっちゃってるだろうし。


どうしようかと悩んでいたけど

「まあ何とかなるか」

という結論に至って教室へと急いだ。








あ、匡ちゃんに聞かなきゃいけないことあったとに忘れてた。


黒山だっけ?黒川だっけ?

名前は覚えてないけど、あの黒髪に赤メッシュの男のこと聞こうと思ったのに。


まあでも3週間後また行くからその時でいっか。










–––この件に関して、後回しにした事を後悔するのは夏休み直前に控えた4日後のこと。