紅〜kurenai〜





「どこ行く?」



今日もいつもと変わらず賑やかなメインストリート。


煌びやかなネオンの光が辺りを必要以上に照らす。


夜になるほど華やかさ賑やかさはより一層増す場所。


現実世界とはかけ離れ自分の快楽を得るためだけにあるこの繁華街。


明るすぎる光を見ながら、光熱費どれくらいまでいくんだ?と場に似合わず現実的なことを考えながら今日も悠と歩いていた。



どこ行く?と悠に聞いときながらも自然と2人とも足がある場所へと向かっている。







メインストリートを少し歩いた所にある細い脇道をに入って右手に見えてくる場所。






––––––––––”greed”







人目につかないような場所にあるそこはまさに穴場。


ここの存在を知ってる人は極一部の人達だ。



ただ、そんな場所をなぜ俺らが知っているのか。


聞かれたとしても俺も悠も答えられないだろう。




本当にただの偶然だから。




初めてここのドアを潜ったときの感覚が蘇ってきて少し顔に笑みが宿る。



入り口の扉が狭いだとか場所に似合わず小洒落た雰囲気だなとか



「今日は遅かったな」



こんな厳つい顔の人がオーナーかよとか。



今じゃそれが当たり前っつーか普通になったっつーか。



closeと札がかかっている入り口の扉を無遠慮に堂々と開け、まだ開店前の慌ただしいフロアをこれまた無遠慮に歩きカウンター席にドカッと腰掛けた俺たちに文句つけるわけでも怒鳴るわけでもなく、水を出しながら話しかけくるここのオーナーはかなり変わり者だ。



初めは警戒心丸出しの俺らだったけどいつしかそんな感情さえもなくなり遠慮という言葉さえも消えてしまった。


慣れって怖い。



「ちょっとな」




って思いつつも普通に水を飲む俺らも俺らだけど。



「お?何だ何だ?女か?!遂にお前も女に目覚めたのか?!」



言葉を濁した俺たちを交互に目をキラキラさせながら見てくるオーナー。


バカすぎて経営大丈夫なのかとか心配になる。

ついでに従業員にも同情しそうになる。


完全に呆れ顔で水を飲んでる俺に教えて光線を送ってくる人って多分この人くらい。


「顔がウザい」


「うわ、リアルにそれ傷つく」


いや、あんた全く傷ついた顔してないけどな。

つか、なんで悠より俺の方が口堅いってわかってんのにワザワザ俺に聞いてくんのかがとても謎。


目の前で泣き真似するオーナーをそろそろ殴りたくなる衝動に駆られる。



「顔だけじゃなくて性格もウザいな」


「…真顔で言うなし」



何つーかな。

シックリ来るんだよな。


この関係が。



オーナーに敬語?

ないない。つか、無理。



いかにも裏の世界の人間ですって顔した大人の男がこんなメルヘンチックな外装の店のオーナーやってんだぞ?



「お前、今絶対心ん中で失礼なこと考えてんだろ」



「いや、別に」



まあ、店ん中はきっとこの人好みに染まってるんだろうけど。


雰囲気とか机の配置とか制服とかメニューとか。


本人曰く、雰囲気とかメニューとかよりも白のワイシャツに黒のズボンとネクタイとロングエプロンっていう制服が1番気に入っているらしい。


ここだけに限らず他の店でも大半がそんな感じの制服だけどな。