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「「「キャアアアアア!!!」」」
「蒼麻様ァアア!!」
「悠麻様ァアア!!」
無事、名門校都立K高等学校付属中学に入学して早、三ヶ月。
そろそろ学校生活にも慣れてきた。
が、廊下を歩く度のこの悲鳴はやめてほしい。
正直俺と悠の恐怖でしかない。
それと同時にやっぱりかという空虚感に駆られてしまう。
母さんと父さんの良いところを引き継いでしまったらしく顔の作りは一般的に見ていい方だと自分たちでも嫌という程自覚している。
そしてこうなる事も予想済みではあったけど、やはり現実を目の前にして笑顔を振りまいてありがとうなんて言えない。
小学校時代のあの空間を体験してしまったら尚更だ。
だが、ここは金持ち校。
全国の金持ちが集まると言っても過言ではないくらい。
そんな人達を”新名”の人間として邪険に扱うことなんてできず、ある程度は愛想よくしなくてはいけない。
うんざりする。
たまに、なんで俺こんなに愛想振りまいてんだろって本気で考えたりもする。
結局は”新名”のために行き着くんだけど。
それは悠も一緒。
隣を歩く悠の顔は平然としているけど内心は俺と同じだ、きっと。
けれど、ここに入った以上は”新名”としてやっていかなきゃいけない。
愛想振りまいて媚び売ってゴマすって、そして見下されて。
腸が煮えくり返るほど窮屈な生活だ。
「蒼?」
教室に着いてからも考え事をしていた俺は悠の話を全然聞いていなかった。
この学校は学力ごとにクラス分けが行われる。
A〜Hまで八クラスあって上位30人がA、その次がB、というように分けられていく。
運が良いことに、俺と悠は同じクラスになれた。
というよりかは同じクラスになれるようにすべてのテストで同じ点数を取るようにした。
そして見事作戦成功して2人仲良くA組に収まったわけだ。
「ごめん、聞いてなかった。どうした?」
席替えがないため出席番号順に座れば当然俺の後ろが悠。
真ん中らへんの一番後ろの席に座る悠を振り返って聞けば、彼の目は廊下へと向けられていて。
「日本のトップクラスが集まってるってのに、狭い世界だよな」
そう悠が言った瞬間、廊下から耳を劈くほどの悲鳴が聞こえてきた。
悲鳴というよりかは歓声か。黄色い。
三ヶ月経った今、コレも日常化としてきている。
