紅〜kurenai〜




教室を出たはいいものの行く場所がない。


いや、行きたい場所はある。私が唯一落ち着ける場所。
だけど、そこが空いてるかもわからないしそこに繋がる階段がどこにあるのかなんて、こんなだだっ広い校舎の中探す気にもなれない。

理事長室に行って場所を聞けば一発なんだけど、その理事長室に居なくてはならない理事長が今日は予定があって不在の為意味を成さない。
よって、今日の朝も理事長室には寄らずそのまま職員室にいる担任の元に行ったってわけ。


あそこに行きたいけど、迷うのはごめんだ。


「あっちにするか」


職員室に来る前、体育館脇を通った時に発見した小さいけどきっと穴場である野原。
日当たりも良いしそこにするか。


「確かこっちだった気が…」


直感を頼りに体育館がある方に足を進めた。





が、直ぐに直感なんて頼りにするんじゃなかったと後悔した。