『仁人が、幹部の皆様方が、とかじゃなくてさ、
貴方達は貴方達でしょ。
自分が今まで見てきたものを信じればいい』
『仁人は…仁人達は、守るべき存在なんでしょ?
ならそれを貫けばいい』
周りの奴らが感じ取ったのかはわからないけど、今回も1番近くに居た俺だからサクラちゃんの変化に気づけたのかもしれない。
何時もの冷たく突き放すような声色じゃなくて、初めて声を聞いた時のように…
あの日アイさんに喧嘩腰で言い返した時のように
鈴の音のような可愛らしい声でありとても優しい声であった事に。
その優しい声は、何かに取り憑かれたように身体が動かない俺に纏わりついたその何かを解くと同時に、長年思い続けてきた俺の悩みも一緒に溶かしてくれた。
『貴方は貴方達』
たった、数十文字。されど、数十文字。
この7文字が俺の視えない傷を癒す答えだったんだ。
そして、仁さんに手を引かれた後再び俺のところにやってきて「罰ゲーム」について話した時のサクラちゃんの顔。
もしかしたら俺の見間違いかもしれない。
失礼だけど極端に言ってしまえば鉄仮面を貼り付けているサクラちゃんだからこそあり得ないと思えることだけど。
でも確かにあの時、笑ったんだ。
厭らしい笑顔でもニヒル笑顔でもなくて本当の笑顔で。
その時にはもう既にサクラちゃんの事を信用しきっていたからそう見えただけかもしれねえけど。
何つうかなあ〜、
「あの人は仁さん達を裏切らない」
「理由は?」
「…勘」
この子の素顔は、きっと俺らの想像を遥かに超える。
仁さん達をかならず救ってくれる。
直感でそう思ったんだよな。
「…慶太の勘、ハズれたことねえよな」
いつの間にか静けさを取り戻していた倉庫に朝日のつぶやきが響いた。
慶太 side end
