「ただ、くだらない偏見を持たずに1人の”霜村サクラ”として見てやってほしい」
それは、長年思い続けてきた俺らの、そして仁さん達の願いでもある。
だからわかるんだ。
獅子という肩書きだけで俺達を見る目がどれだけ俺達の心を抉るかが。
皆んな獅子の名前を語りたいが為に獅子に入ったんじゃない。
俺が俺自でいる為に入ったんだ。
姫にはなりたくないと言っているからこそ、きっとサクラさんの事を仁さん達が認めた女という認識で見られる事を嫌うだろう。
それをアイさんはわかってるんだ。
だからアイさんは”くだらない偏見を持つな”と言ったんだ。
外見が地味だからとか仁さん達が認めたからとかじゃなくてただ1人の儚い女の子として接して欲しいと。
外見と中身が違う事くらい俺達が1番よくわかってるし目の当たりにしているものだ。
一歩後ろに下がって前に立つ仁さん達を見つめてるサクラさん。
サクラさんに背を向けている仁さん達は当然彼女の顔は見えない。
けど、こっちにいる俺らからは見える。
ましてや1番近い距離にいる俺と朝日は。
まあ、朝日が気づいてるかどうかはわからねえけど…。
……ねえサクラさん。
この世界は、上の者が下の者に頭を下げることなんてあり得ないに等しいってこと、知ってる?
たった1人の女の子の為に、獅子を支える中枢部の幹部の人達が俺らに向かって深々と頭を下げたんだ。
そんな人達を目の前に周りで息を呑む音が聞こえる。
きっとこの先、この人達に頭を下げさすほどの存在はサクラさん以外現れない。
だからさ、そんな哀しそうな目、しないでくださいよ–––––––
