紅〜kurenai〜







この場にいた全員が想像もしていなかった言葉だった。



言われた本人である仁さんでさえ目を見開いて彼女…サクラさんを見ている。





支えてあげて、か。




この人は仁さんの苦しみをたった数時間で理解してしまったようだ。




さっき本人は地味な自分が皆んなから尊敬されるような仁さん達と一緒にいるのは俺らに申し訳ないと言ったけど、俺はサクラさん以上に仁さん達の隣が似合う女は他にいないと思った。








「当たり前っす」



そんなの、当たり前です。




隣の朝日の声と俺の心の中の声がピタリと一致した。





「俺ら仁さん信者なんで!」


「この人達は俺らが絶対に守ります」




朝日に続くようにそう口々に声を上げる俺らの状況を驚いた顔で見つめる仁さん達。



サクラさんも知っている通り、サクラさんに言われなくとも俺らは仁さんを…仁さん達を尊敬し続ける限り支え続けるだろう。





それはこの場にいる全員が獅子に入った時に俺たちだけで誓った事だ。








「サクラはこういう奴だ」





サクラさんの横に並ぶように前に出たアイさん。



苦笑気味にそう言うがサクラさんを見るアイさんの目は限りなく優しい。


アイさんだけじゃない、他の幹部の人達もアイさんと同じ優しい目をしてサクラさんを見ている。



あの女嫌いで有名な蒼麻さんでさえも優しい目とまではいかないけど、それでも他の女を見る目よりかは遥かに優しい目だ。



そんな視線に本人のサクラさんは全く気付いていないけど。







「サクラを此処に通わせる事を勝手に決めたのは俺達だ。無理にコイツと仲良くしろとは言わねえ。

自分の目で見極めて、自分で判断してほしい。自分がどうしたいのか、コイツは守るべき存在なのかを」






こういう縦社会の関係か厳しい世界では上の者がコレと決めたら下の者が何を言おうとどんだけ抗議しようとその結果が覆る事はない。



本来なら、仁さん達がサクラさんを認めたんだから俺らがサクラさんに対してどんな念を抱こうとも認めなくてはいけない世界なんだ。



上に立つ者なら何が何でも下の者を征服したいと思うのが普通かもしれない。


それでも、あくまで俺らの意見を尊重し全ての判断を俺ら自身に一任する。


彼女が言うように仁さん達が認めたからって俺らも無理して認める必要はない、と逃げ道を与えてくれる。







……此処もサクラさん同様変わり者の集まりだ。




そんな人達だからついて行きたいって思えるのも確かだ。