–––––ガチャリ
幹部室のドアが開かれた音が一階に響いた。
その瞬間、一階のフロアになんとも言えぬ緊張感が走った。
「もう何度か見た奴もいるかもしれないが、今日集まってもらったのはお前らに正式に紹介したい奴がいるからだ」
仁さんとアイさんを中心にバルコニーに一列に並ぶ幹部の皆様方。
流石、獅子を支えるだけあって貫禄あるその姿に圧倒される。
仁さんとアイさんの纏う覇気なんて尋常じゃない。
それでもなんとか耐え直立不動の姿勢で上を見上げるのはきっと俺だけじゃない。
寛人さんの言う『総長の溺愛姫』の姿は彼らよりも後ろに立っているのか仁さん達の陰に隠れてしまっている為、ここからじゃ見えない。
「サクラ、来い」
後ろを振り向きながら少し右にズレた。
仁さんの隣にいたアイさんもスペースを空けるため少し左にズレ出来た空間に、1人の女の子が現れた。
……は?
喉の奥まで出かかったその言葉を必死の思いで飲み込み目を見開いた。
そんな状態になったのは絶対俺だけじゃないはずだ。
仁さん達が選んだ人だから、もっとこっちが圧倒される程の人だと思ってた。
けど実際現れた女の子は圧倒されるでもなく本当に素朴な子。
いや、あれは素朴と言うのだろうか?
……今時どこを探し歩いても見つかる確率が極めて低い『ビン底眼鏡にお下げ』の女の子。
この子なら大丈夫だとも思えないし寧ろこんな真面目な子が不良である俺らと関わっちゃって良いの?って心配になる。
サクラちゃんを初めて見た時の第一印象はそんなものだった。
