本来行くべき所であったラーメン屋の前を猛スピードで通り過ぎ俺たちが倉庫へ着いた時には予定の時刻まで残り4分だった。
バイクを停め倉庫の中に入れば半数以上の人は集まっていた。
総勢200人を超える獅子は他の暴走族とは構成がちょっと特殊で複雑だ。
まず、1〜5番隊まで分割される。
1番隊は時期幹部候補の奴等。
2〜5番隊は力が均等になるように幹部の人達が振り分ける。
そして2〜5番隊の隊長・副隊長は1番隊から配属される。
要するに1番隊は自分の本所属隊の他にもう一つの隊の隊長か副隊長を兼任って訳だ。
隊長・副隊長の他に、寛人さんが1番隊、アイさんが2番隊、辰さんが3番隊、悠麻さんと蒼麻さんがそれぞれ4番隊と5番隊を受け持っている。
組手の練習や特訓の時は基本、隊ごとに分かれてその隊を受け持つ幹部の人達が指導に当たる。
辰さんは飯が食えなくなるほど練習が過酷らしいと噂されている。
それを聞いた時は心底1番隊で良かったと思った事を昨日のことのように覚えている。
そして…時期幹部候補が集う1番隊の隊長と副隊長が俺と朝日だ。
前総長から配属の場所と役職を言い渡された時は正直びびったし俺じゃ無理だと思った。
けど此処のトップである総長が決めたことだ。
出来ないから無理ですなんてことは通用しない。
そのお陰でこの半年間突っ走り続けた。
周りに認められるように、仁さん達に認められるように、そして1番隊の隊長として恥じないように見合うように。
結構辛かったけど仁さん達から信頼を得た今、それはそれで良かったんじゃないかと思っている。
「後どれくらいだ?」
既に揃っている各隊の隊長に聞けば3、5番隊は全員揃っているとの報告を受けた。
残りの隊も後数人で揃うみたいだ。
携帯で時刻を確認すれば予定時刻まで残りの1分。
全員が揃うのを静かに待っていた俺と朝日のところに2、4番隊の隊長である昂(のぼる)と和樹(かずき)が「全員揃いました」との報告に来た。
予定時刻…午後19時まで残りの30秒。
二階と一階を繋ぐ階段の手摺りに凭れながら立っている寛人さんのところへと足を進める。
その間考えるのは、今回も時間通り全員揃って良かった、ということだ。
これでも内心ホッとしてたりもする。
「寛人さん、全員揃いました」
「ジャストだね」
報告に来た俺と朝日にニタリ笑顔でそう言う寛人さんは誰よりも性格が悪いだろうと頭の中で失礼なことを考えた。
「流石、時期総長と副長だ」
寛人さんの目はこれからもどんどん試すぞとでも言いたげな感じで…。
「程々にお願いします」
もう苦笑いするしかない。
「大丈夫大丈夫。そんな無茶なお願いはしないから」
笑ってそう言う寛人さんは正真正銘確信犯だと確信した。
どうだかな…。思ったことがそのまま顔に出ててたのか
「今まで、慶太達が出来ないような頼み事したことあった?」
笑うことをやめないその笑顔はクスクスという感じの笑みだけどどこか冷たさを感じる。
