「なんか俺、仁さん達が認めた理由何となくわかった気がします」
…あれ?なんか私もしかしていらない手助けしちゃった感じかな?
緑君のボソッとした呟きに周りにいたみんなが口々に「俺も!」とか「サクラちゃんなら!」とか言っているのが聞こえてくる。
いやいやいや、折角選択肢を増やしてあげたのに決断早くない?
「え、ちょ、緑君!」
珍しくテンパりながら近くにいた緑君に声をかけた。
「緑君って俺の事?」
クスクス笑いながら自分の頭を指差している彼を見てやってしまった思った。
いくら名前を知らないからといって緑君は流石にないか…。
若干落ち込む私に笑いながら「気にしないで、名前教えてない俺が悪いんだから」という彼はきっと獅子の中で1番優しいだろう。
何かあったら彼に頼もうと決心した。
「俺の名前は、日向 慶太(ひゅうが けいた)、慶太って呼んで。改めてよろしくねサクラちゃん」
そう言う緑君こと慶太は先ほどのぎこちなさなんて嘘のように敬語なしで普通に話せている。
なんだ、やれば出来るじゃん。
「うん、よろしく」
差し出された右手に自分の右手を合わせれば「抜け駆けはよくねえぞ、慶太」と慶太に突進してきた大きな物体。
「俺、溝端 朝日(みぞばた あさひ)!よろしくな、サクラ!」
慶太の肩にもたれながらピースをする笑顔の彼は朝日という名前に似合わず髪の毛の色がピンクだ。
なんて言うんだろう、なんか、うん一言でまとめると何故ピンクを選んだんだ?ってことだ。
朝日って名前にプラスしてそのウザったいくらいの笑顔が特徴的な彼はきっとオレンジとかの方が似合う思う。
私があれこれ口出しすることでもないけど。
「ピクン似合わねえとか言うなよ」
今まさに脳内で繰り広げていた話題を言われてしまい、朝日を見ればどこか不貞腐れたような顔をしていた。
「ああ、ごめん……あっ」
「サクラちゃん、今口押さえてももう遅いから」
思わず謝ってしまった私は朝日の言うピンクが似合わないってことを認めたようなもんで、慌てて口を押さえたけど遅かった。
苦笑して言う慶太に何も言えない。
「俺だってピンクにするつもりなかったし!」
いやいや堂々とピンクの髪を見せびらかしてるところからして、するつもりがなかったと言われても説得力にかけるだろう。
そもそも、じゃあ何色にするつもりだったんだよと言いたくなる。
「たぶんサクラちゃんも想像通りのオレンジにしようとしたんだよ最初は」
未だ不貞腐れる朝日の代わりに答えてくれる慶太。
「けど、オレンジだと思ってた液がまさかのピンクでね」
慶太のその言葉で全てを察した。
つまり、オレンジに染めようとして液を買ってきたんだけどそれがまさかのピンクで、それに気づかずに染めてしまった。って訳ね。
「バカ」
言葉にせずにはいられなかった。
「真顔で言わないでくれ…」
それによって朝日の傷はさらに抉られたようだが。
