「だから最初に言ったでしょ?
守ってもらわなくていい、って」
仁人達は仁人達が好き勝手に私を守ると口にし行動してるだけであって、仁人達がそうしてるんだから貴方達も同じように行動しろと言ってるんじゃない。
だからと言っていきなり自分より上の立場の人、それも尊敬して止まない幹部の皆様方が急に現れた1人の地味な女を特別扱いするもんだから戸惑うのも当然だと思う。
仁人達がいくら「無理に認めようとしなくていい」と言っても、頭の片隅には”総長が認めた女”としての認識が置かれている。
それがある以上、何としてでも認めなくてはという使命感に駆られる。
だからこそ、伝えなきゃ。
「”総長が認めた女”じゃなくて”ただ倉庫に入り浸っている女”そう認識してくれない?」
「いや、でも…」
流石にこれはキツイようで今まで反応を示さなかった彼等がすかさず反応した。
「本人がそう言ってるんだからそうしなさいよ」
けど私も譲れないから少し怒った口調で言えば、怯んでしまった。
なんか私が虐めてるみたいじゃない。
敬語使ったりタメ口だったり反抗したと思ったらすぐに怯んだり。
忙しいわね貴方達。
けど、歩み寄ろうとするその心意気は
––––––嫌いじゃない。
「総長が、幹部の皆様方が、とかじゃなくてさ」
そこで一旦切ってから深呼吸をする。
「貴方達は貴方達でしょ。
今まで見てきたモノを信じればいい」
自分でもこんなに優しい声が出るのかと驚くほどの穏やかな声が出た。
二択に見えるその選択も結局は一択でしかない。
そんな選択を本当の二択にする為にもう一つの選択肢を与える。
迷い戸惑う人を目の前に、優しく手を差し伸べるのは彼奴ら以外で初めてだ。
きっと2週間前の私ならこんなことしないだろうし、こんな事するなんて考えられないだろう。
此の街はあの街と、似ても似つかないほどだけど
此処は彼処にとても似ている。
「仁人は、仁人達は護るべき存在なんでしょ?
ならそれを貫けばいい」
お互いを思い合う温かさ、とか。
これで、少しは楽になったかな?
機械のように仁人達に従順するか
自分達らしく信じたモノを貫くか
どっちを選んだって私も仁人も、誰も咎めやしない。
大事なのは、どっちが自分らしく居られるかって事だ。
