いつの間にか短くなったタバコを灰皿で潰し火を消した。
リビングに戻りながら壁に掛けてある時計をみればまだ9時過ぎ。
仁人?
にしては早すぎる。
あの人は時間を決めたらそれより早く来る事もないし遅れる事もない。
じゃあ、誰?
いまだ鳴り続けている携帯の画面をみればそこには
「悠麻?」
『新名 悠麻』の文字。
「もしもし?」
『あ、出た!もしもし、サクラちゃん?!オレオレ!』
…これ、電話の相手見てから出たから良かったものの見てなかったら切ってたかも。
「オレオレ詐欺ですか。他当たってくださ–––––」
『わー!!俺だよ俺!悠麻!!サクラちゃんの隣の席で一昨日会った新名悠麻!』
コイツも朝から元気だなホント。
一体君たちは何時に起きたのよ…。
夏休みにこんなだけ早起きできるなら学校ある日も早起きして遅刻なんてせずに来れば良いのに。
て言うか、それが当たり前だ。
『…ってサクラちゃん?!』
「叫ばなくても聞こえてる。で、要件は何?」
いちいち煩い悠麻の声は一般男性の声より少し高い声だからそんな耳元で叫ばれたら頭がガンガンする。
『嫌いな食べ物とかある?』
普通の声に戻ったのを確認してから携帯を耳元に近づけた。
「ないけど…」
それって電話で聞くもんなの?
てか今時電話じゃなくてもそんな初めましての挨拶の時には聞かないと思う。
『ホント?!そっか、ありがとう!
じゃあ、また後でね!!』
そして今回も私の返事を聞く前にブツッと電話が着られ私の耳には機械音が届く。
今の嵐のような電話は一体何だったんだろうか?
まずそもそも私の嫌いな食べ物を聞いて何になるんだ。
寛人の作る幹部室で出てくるご飯の参考に?
それだったら悠麻じゃなくて寛人が直接聞いた方が良い。
バカな悠麻に任せたら寛人に伝わる前に嫌いなものがわかってそうだ。
まあ私の場合は嫌いな食べ物はないから変わる心配もないんだけど。
いくら考えたって答えは出ないし別に大して知りたいわけでもないから仁人が迎えに来た時にでも聞こう。
