「明日からの送迎はこの6人の誰かが受け持つ」




あの後、一通り挨拶が済んでから再び幹部室へと戻ってきて開口一番の言葉がそれだった。





「どうしても手が離せない状況だったら下の奴に頼むけどなるべくは俺たちがやる」




普通こういうのって総長である仁人が説明するべきなのに何でアイが全て説明しているんだろう。


まああの仁人がこんなにも饒舌に話し始めたらそれもそれで違和感を感じる気もするけど。







「もしかして夏休みも毎日?」




アイの言葉にハッとして、そう言えば明日から夏休みに突入する。



別にコレと言って楽しみな事はないけど毎日コイツらと一緒なんて冗談じゃない。




が、私を見るみんなの目が当たり前だろとでも言っているようで。







「毎日来るよな?」




アイがニコリと笑顔で私にそう問いかけるが、目が笑ってない。


その隣で無言の圧力をかけてくる仁人。





「…週3じゃ–––––」


「あ?」




最早、仮にも一般人の人にかける声じゃない。



週3も来れば良い方でしょ。

家にいてもやる事はないけどここにいたってやる事ない。



ただ、黙って座って時間が過ぎるのを待つだけじゃん。




そう考えれば週3でも多い方だ。








お互い一歩も譲らず、睨み合ってからもう3分は経過しただろう。



私達の間に流れる気まづい沈黙を破ったのは彼らが総長の仁人だった。




破ったって言っても、長い長い溜息だけど。


言葉とかじゃなくて呆れたような長い長い溜息だけど。






「…4にしろ」




なんで1日増やすのよ。



「3」


「4」


「3!」


「4だ」




これじゃ、埒があかない。



逆になんで私をそんなに来させたいの?

どうせ来たって私のことほったらかしなくせにさ。


別に構って欲しいわけじゃないけど、お客に対する態度かそれはって言いたくなる。





「どーせ家にいてもやることないんだろう」




嫌味ったらしく図星を突いてくるアイを殴り飛ばしたい衝動に駆られる。






「此処にいたってやること無い。
ただ時間過ぎるの待つだけなら家でゆっくりしてたいと思うのが妥当だと思うけど」






こっちだって黙ってないよ。

ただ座って夜になるのを待つなんて無駄な時間過ごすことはしたく無い。


そんな無駄な時間を過ごすほど暇じゃ無い。


やらなきゃいけないことだってある。