紅〜kurenai〜





彼奴らもそうだった。



真っ直ぐ向かってきて簡単に私の心の中に踏み込んできて。





いくらこっちが壁を作って距離を取っても、作るたびに壊され離れるたびに追われて。





いつだって土足で踏み込んでくるのにいつしかそれが心地良いと感じる自分がいて。















その感覚に、凄く似ているんだ。






頭を深く下げるコイツらが。


諦め悪く私に纏わりつくコイツらが。


私を守ると言ったコイツらが。


1人で背負うなと言った仁人の言葉が。





嫌味なくらいに、私の心にスッと入ってくるんだ。













目の前にいるのは獅子なのに


どうしても重なってしまうんだ。




彼奴らと。







仁人達が全てを賭けて守っているこの空間が、どうしもなく似ているんだ。













私の帰る場所であったあの街に。



私の唯一の居場所だった彼処に。









だからなのかもしれない。


守られている自分に自嘲的な笑みが零れるのは。





















けど、壁の作り方は十分ってくらいに知っている。
















–––––––––––––私が心を許すのは





彼奴らが最初で最後。

























だから、私なんかの為に貴方達が頭を下げる必要はない。



貴方達に頭を下げてもらえるほどの価値は私にはない。






あの頃彼奴らに言った言葉と全く同じ言葉を心の中で呟いた–––––––。