私がこの倉庫に通うという事が決定したところで斜め前に座っている加賀が立ち上がった。



きっとこの部屋を出ていくのだろう。




けど、それを許さなかったのは低く放たれた仁人の声だった。





「辰、座れ。まだ終わってない」





まだ話が終わってないからなのか、それとも仁人には逆らえないのか、きっと後者の確率が高いだろうけど嫌々ながらも加賀は元いた位置に戻った。





「それじゃあ、俺たちのこと少し説明しようか」



”何も知らないみたいだし?”と続けて軽く嫌味な感じで言われた。





「お前本気で知らねえの?」





疑いの目を向ける加賀の目からは、本当は知らねえフリして俺らの気を引こうとでも考えてんじゃねえの?という思いが丸見えだ。




まあ確かに知らないフリしてるっていうのは多少当てはまってるけど、あんたらの気を引こうだなんて一度も思ったこと無いし、そんな事考えるのさえ時間の無駄だと思ってる。





むしろ



「興味ない」



バッサリと言い切った私の声が何故か室内に響いた。




「ははっ、ここまでハッキリ言われるのも結構悔しいね。ねぇ、仁人?」




なんて言う寛人の顔はちっとも悔しそうな顔なんてしていなくて、気持ち悪い貼り付けた笑顔だ。




「いずれ、興味を持つ」



そう言う仁人は口角を上げニヤッとしている顔。




「あー、はいはい。わかったから早くしてくれない?」


バカ真面目にコイツらに付き合ってるときっと体力が持たない。



「せっかちな女性はモテないよ?」


「もう帰っていい?」



今度は私がソファーから立ち上がる番だった。



「寛人」



けど、それを制したのはやはり仁人の声。


それだけの言葉にどんな意味が含まれているのかは、私にも何となくならわかるけど、たった二文字、それも寛人の名前を呼んだだけで呼ばれた本人の寛人は…いや、私以外の全員は仁人が何を言いたいのかを全て理解している。












「じゃあ、始めようか」




そう言った瞬間、再び寛人の纏うオーラがガラリと変わった。








いや、寛人だけじゃない。



この場にいる全員が、だ。




ただの高校生から…

















































未だかつてどこも成し遂げたことのなかった荒れ果てた関東地区統一を果たし頂点に君臨した、15代目獅子のトップに立つ男たちの顔に––––––。