–––––––ガチャリ。
仁人に凄まれている哀れな2人を呆れたように見ていたら、入り口の扉が相手誰かが入ってきた。
「やっと来たね」
寛人のその言葉と同時に入り口の方を振り返れば、明らかに不機嫌極まりない蒼麻と加賀がいた。
蒼麻は1度だけこの部屋の同じ空間に居たことはあるけど、加賀とは一度もない。
きっと、私が来ている時はこの部屋にさえ寄り付かないんだと思う。
そんな加賀に悪いと思うほど私は綺麗な人間じゃないけど。
そしてやっぱり加賀は私から一番離れたソファーに座った。
コの字型になっているここのソファー。
悠麻と私が同じソファーに座ってテーブルを挟んで向かいのソファーには空いてる方の左から順に加賀、アイ、仁人って座った。
コの字の背の部分にあたるソファーに座っていた寛人の隣には蒼麻が座った。
「さ、じゃあ揃ったことだし始めるか」
全員がソファーに座ったのを確認しアイがそう言ったと同時にみんなの雰囲気がガラリと変わった。
普段の男子高校生から–––––––……
「霜村サクラを、獅子の姫、獅姫にする。反対の意を持つ奴はいるか?」
仁人の低い声が部屋の中に響く。
私の希望…というより、頼み綱は斜め前に座る加賀。
それと、薄っすい希望だけど蒼麻。
その二人にチラリと視線を這わせるけど二人共下を向いたままピクリとも動かないから、…読めない。
そして…
仁人の問いかけから、1分が経過した。
