紅〜kurenai〜



「「「こんにちはっ!!!」」」



相変わらず大きい声で挨拶するみんなに毎度毎度驚かされる。



そんなみんなに、悠麻達は「ただいま」だったり「お疲れ様〜」だったりと声かけているのに、一番前を悠然と歩く俺様自己中の仁人は「ああ」だけしか言わない。




なんかもっとほかにあるだろ!

とは思うけどなにも口に出さずにみんなの後に続くだけ。


3度目となる好奇の視線を受けながら。







「コーヒーでいい?」



いつもの部屋に入ってそれぞれがいつもの定位置らしきところに着くと、気が利くエセ紳士の寛人が尋ねてきた。



コーヒーでいい?とか聞きながら、私がうんって答えるのをわかってるくせに。なんて思ったけど、今日はコーヒーって気分じゃない。




「お茶ある?」


「あるけど、お茶にする?」


「うん」


「了解」




それだけ言うとキッチンの方へ行ってしまった。





そして訪れる何時ものあのシーンとした空気。



てっきり、ここに着いたら直ぐに結果を言って終わりかと思ってたけどどうやらそうではないらしい。





そんな私の考えてることがわかったのか、目の前に座っている仁人がニヤッとしながら言った。




「しつこい男は嫌われっからな」




コイツの今までの行動のどこがしつこくないって言うんだろうか。
今までも十分すぎるくらいしつこかったと思うのは私だけなのだろうか。



てか、その前に


「安心して、あんたを好きになる予定なんてないから」



嫌われっからな、という以前に既に嫌いだし好きになるつもりもない。
というか好きにならない。




それだけ言ってお茶が来るまでふかふかのソファーに背中を預け寝るつもりで仁人と同じように目を閉じた。





「仁人のことを毛嫌いする人サクラちゃんが初めてだね」


「いや、仁人だけじゃなくて俺らもだけどな」


「まず、そもそも仁人にこんな態度取る女の子が初めてだよ」


「珍しい奴もいるもんだな」



……寝れやしない。



「おい」

「無駄に媚び売る女を演じましょうか?」



同じタイミングで声を出した私と仁人に



「「…すいません」」


声を揃えるアイと悠麻。


「クスクス…虐めちゃダメでしょ?」


優雅に紅茶を飲む寛人。


「そもそも仁人にこんな態度取る女の子が初めてだよ」と一緒になって言ってたやつはどこのどいつだよ。