「待って、カバンとってきてない」
教室がある階もそのまま素通りして昇降口に行こうとする仁人を引き止め教室に置いたままであるカバンを取りに行こうとするが逆に止められた。
「悠麻が持ってった」
どうやら同じクラスでお隣さんの悠麻が私のカバンも持って行ってくれているみたいだ。
それならそうと先に言って欲しい。
気を利かせてくれた相手にそんなこと言えないが。
教室に行く必要もなくなり仁人と昇降口を通って裏門まで行けば、やはりそこにはいつもと同じ様に黒い車が止まっていた。
別に車も嫌いじゃないけど
「バイクがいい」
久しぶりにコッチも乗りたいんだよね。
「「はあ?!」」
仲良く声を揃えて間抜けヅラをかましているのは悠麻とアイ。
助手席に座ってる寛人とスキンヘッドのお兄さんはビックリして目を見開いている。
仁人は、何故か溜息。
蒼麻と加賀に至っては姿が見当たらないところからして先に倉庫に向かっているのだろう。
「無理だ」
心なしかウキウキだった私の気分を一気に奈落の底へと突き落とした低い声は勿論、仁人のもの。
「なんで?」
「無理なもんは無理だ」
「だからなんで無理なのよ?」
隣に立つ仁人を見上げ睨む私と、そんな私を見下ろし睨む仁人。
バッチバチの火花を散らしているこの状況。
「手荒な誘拐ご希望か?」
先に口を開いたのは口角を上げニッと妖艶に笑う仁人だった。
そこまでしてバイクに乗っちゃいけないのかよ。
バイクに乗るもんなら無理矢理でも車に押し込むってか?
冗談じゃない。
「乗ればいんでしょ乗れば」
なんだか、言い合うのがバカらしくなってきた。
別に乗ろうと思えば何時でも乗れるし。
乗り込んだ私を確認してから、仁人が乗り込み「出せ」とスキンヘッドのお兄さんに言った。
車はそのまま一直線に倉庫へと向かった。
