紅〜kurenai〜




ああ、やっぱりこの人はアイだ。


背丈も手の大きさも声も顔付きも若干性格も変わってしまったけど、相手を思いやる優しい心だけはあの頃のアイのまま。


何も変わってない。




例え、十ある内の九が変わってしまっても残りの一つが変わらずにいるのなら私はそれで良い。




「何してんだよ早く行けよ」



同じように立ち止まってアイを見てしまう私を呆れたように方向転換させドンッと背中を押すアイ。




–––––––––––ありがとう




喉まで出かかったその言葉を必死に飲み込んだ。




「…案外、良いとこあんじゃん」


「うっせ」




今はこんな事しか言えない私をどうか許してください。