「…な、なにっ笑ってんだよ…っ」
ああ、忘れてた。
そういえば躾けている途中だったね。
あの事を考えてしまうとどうも自分の世界に入ってしまうみたいだ。
「…さあ?何でだと思う?」
「し、知らねえよっ!!!」
ピンと張り詰めていた30対1だった状況も
数分後には血の海と化したそこはまさに地獄絵そのもの。
そして気づけば1対1にまで追い込まれていた。
それにも関わらず、吠える目の前の男。
威勢の良さだけは認めてやるよ。
「なぁ?知ってるか?」
威勢の割には恐怖で身体の震えが止まらない男は近づいてくる返り血を浴びた奴から後ずさる。
きっと質問の声さえ届いていないだろう男は目の前の奴の尋常じゃないほどの覇気に半分気を失っている。
「クスリは、御法度だって親に習わなかったか?」
震え上がる男何て構いもせず、ニヤリと口角を上げて男の耳元で囁いたその声は、身体中から汗がドッと吹き出る程ドスの効いた冷たい声だった。
「法は、守らないとね?」
鳩尾に重たい拳を1つ入れ、完全に気絶した男を見下ろすその眼は気絶した男のように震えが止まらなくなるほど冷酷で、そして
––––––––闇に染まっている。
「一件落着。次は何処を喰おうか」
そこらに転がるボロボロの身体を蹴り飛ばし出来た道を歩いていく奴は情というものを持ち合わせていない。