紅〜kurenai〜






案の定、あの後匡ちゃんは皇くんを呼び出し地獄の説教タイムが催された。






「てめぇ教師辞めろや」という匡ちゃん言葉には流石に言い過ぎだと思って止めたけど。






今回の事で痛いほど学んだだろうから今後こんな事は絶対に起こらないだろう。













それからは何事もなく今日1日の全ての授業が終わり、続々と教室を出て行く皆んなに続く様に教室を出た私を慌てて追いかけてきたのは



「サ、サクラちゃんっ!」



……悠麻だった。



「何?」


返事はするものの、家へと向かう足は動きを止めずそのまま進めている。



「今日倉庫–––––––」


「どうせ明日行かなきゃいけないんだから今日は行かなくてもいいでしょ」



話の内容は多少想像できてきたから悠麻の声に被せ遠回しに行きたくないという事を伝える。






まだ、貴方達の仲間でもなんでもないのに倉庫に行く意味なんてないでしょ?

それに下の人達に何も話してないみたいだし。



彼処に行くたびに受ける好奇の視線は決して心地良いものではない。




そんな場所に誰が好き好んで行くかっての。




「じゃ、そういうことだから」



一度も足を止めず、そして一度も悠麻に見向きもせずそのまま立ち去る。



つもりだったが面倒性格をしている悠麻は「送るよ」なんて言い始めた。





「私に構ってる暇あるならとっとと帰って加賀とお兄さんを説得でもしたら?」




時間、有効に使わないと損するよ。




「女の子1人だなんて危な––––」


「学校から家まで10分。それも人通りの多い大通りをこんな明るい時間に歩く所のどこが危ないって?」


「そ、それは…っ」



何も答えられない悠麻に呆れる。
口説きたいならそれなりの術を身につけろ。



いくら口が達者でも私が口説かれるわけはないけど。





「じゃ、また明日」




悔しそうにしている悠麻を放っておいて足早に家路へとつく。