「ほら、サクラさん。授業に戻りますよ」
ソファーに座っていた私の腕を取り立たせるとそのまま私の腕を離さずに引き返す皇くん。
「ちょっ」
いきなりの事で足がついていかない私はヨロヨロとなるが皇くんの腕がしっかりと私を支えていたので倒れる事はなかった。
少しの腹癒せに、持ち前の運動能力が高いだからだということにしといたけど。
自分でも感じるよ、何ともちっぽけな足掻きだ、と。
「サクラ」
皇くんに連れられ理事長室から出る直前、匡ちゃんの声に動いていた足を止める。
匡ちゃんの声は皇くんにも聞こえていたみたいで私と同じように止まってくれたから、無理矢理連れ出されるなんて事はない。
仮に止まってくれなかったとしても無理矢理連れ出される何て事はないんだけども。
「…なに」
不貞腐れたように答える自分に、我ながら素直じゃないなと思う。
「サクラの為だ」
ハッキリとした口調なドクリと鼓動が鳴り
迷う事のない真っ直ぐな強い視線を背中に感じる。
結局、言わせてしまう自分が嫌になる。
「…知ってるよ」
歩き出したのと同時に小さく呟いた声はすぐ近くに居る皇くんにさえ聞こえているのか微妙だ。
