「…わりい。」
「別に。もう慣れたから」
申し訳なさそうに発せられた謝罪の言葉に間髪入れず答える。
何かを口走ってしまわないように。
それ以降、学校まではさほど遠くない距離をお互い無言で歩いた。
なんで今日はバイクじゃないのか聞きたいけど、聞いたら後悔しそうで怖い。
私ってこんな根性のない人だったっけ。
こんな臆病な人だったっけ。
ああ、そう言えば誰かが言ってたね。
大切な物があるほど
人は強くなり、そして
––––––––––弱く臆病になる、と。
はは、私をこんな感傷的にさせるなんてね。
流石、アイ。としか言いようがない。
さっきとは変わって、私の一歩後ろを歩いているアイを意識しながらそんな事を考えてれば学校の校門が見えてきた。
ここまでくれば、と言うより学校が見えてくる手前から感じていたけど、会う人会う人の視線を集めている。
私じゃなくて後ろの奴が。
いや、ある意味私も視線を集めているのか。
超絶イケメンのそばを歩く超絶地味子として。
「じゃ、私先行くから」
ただコイツの前を歩いてるだけなのに女子のイザコザに巻き込まれるなんてごめんだ。
そこまでしてコイツらと仲良くなりたいだなんて到底思えない。
てことで、昇降口に着いたところでアイに声をかけて逃げるように教室へと急いだ。
階段を駆け上ったところで左にズラリと並んでいる教室へと向かうのではなく、反対の右側に方向転換してアイが来る前に急いでその場を後にした。
