紅〜kurenai〜





そんな事は口が裂けてもこの人たちには言えないけど。



コイツらの前ではあくまでも”女子高生”でいなくてはならない。




私がコイツらに自分の事を話すことは絶対にない。



もしあるにしても、それは私がもっと強くなった時。



––––––だから、きっとない。







アイの一歩後ろを歩きながらそんな事を考えてれば昨日下ろしてもらったコンビニの大通りの所まで来ていた。




てっきり昨日と同じようにバイクで来てるのかと思ったんだけど、コンビニの駐輪場を見ても昨日アイが乗っていたバイクらしきものは見つからない。


それに先を行くアイはコンビニをそのまま素通りして学校の方面へと歩いている。




この人もしかして…歩き?





別に歩きが嫌なわけじゃないけど、まだバイクの方がマシ。


アイと歩くのは正直気が引ける。






––––––絶対に仕掛けてくるだろうから。


それに、歩きだと


「なんで足立なんかに来たんだ?」


嫌でも目を見て話さなくてはいけなくなる。



コイツの純粋で正直な目は苦手だ。


自分の汚さを思い知るようで。





「…アイに関係ある?」


「ガードかてぇな」



クククと笑う奴の目に品定めされてる気がして居心地が悪い。


こんな事になるなら振り切ってでも1人で登校すれば良かったと後悔し始めた時。




「兄弟とかいんの?」




先ほどの質問の時とは違ってこちらを振り返らず前を向いたまま少し低く掠れた声で聞かれた質問に思わず息を詰まらす。



会って2日目、言葉を交わして4回目。



ここで仕掛けてくるとは思ってもなかったし、まさかこんなに短期間でそんな深い身内関係の質問されるとも思ってなかった。

と言うより、アイはそういう事は聞かないだろうと思ってた。








「…サクラ?」



一向に答えない私を不思議に思ったのか足を止め後ろを振り返ったアイ。





…アイもアイで必死なんだと思う。


たまに連絡を入れてくれるあの人達の話によればだけど。





けどね、アイ。





「いたのかもしれないしいなかったのかもしれない」

「は?」

そんなよくわらない私の答えに顔を顰めるアイは予想通りの反応だ。









世の中にはね、知らなくていいことが沢山あるの。


真実を知らない方が幸せになれる事があるの。




知ってはいけない残酷な真実があるの。

















「……10年前から記憶がないの」




所謂、記憶障害ってやつ。そう続けていう私に複雑そうな顔を浮かべた後、泣きそうになるアイ。