女に少しの興味を示すアイも仁人も。
その女に冷たい作り物の笑顔と優しさで接する寛人も。
その女を嫌っている辰も。
女という生き物自体を拒絶する蒼麻も。
全て、全て笑える。
髪型も制服の着方も背丈も筋肉のつき方も。
自分達でもここまでかって思うほどに似ている俺たち双子は後ろ姿からなんかじゃ判断できないと思う。
さすがの仁人でも後ろ姿は厳しいみたいで、現実にそれをやってのけた奴なんていなかった。
–––––––––今日までは。
出会って数日、それもその数日間ずっと一緒にいたわけじゃないし、むしろ一緒にいだ時間なんて24時間にも満たないのにそれをやってのけてしまったあの子に…霜村サクラに心の中を掻き乱されている自分が1番笑える。
人の不幸を愉しむのが丁度いいと思ってた俺が、あの子の笑った顔を見てみたいと思ってしまう自分が滑稽だ。
俺と同じことを考えてるのか、又はさらに警戒心を強くしてるのか。
どっちを考えていたとしても蒼麻も俺と同じように戸惑った顔をしていたのには変わりない。
シーンと静まり返った中、視界の端で誰かが動いた。
「…あの女が”サクラ”だからだ」
そう低く唸るように吐き捨てた辰はそのまま部屋を出て行った。
辰の言葉の意味を理解するのはもう少し先のこと––––––––。
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