紅〜kurenai〜





バイク自体に乗るのが久しぶりで独特の風を感じ独特の風景の流れを楽しんだ。




私の住むマンションの近くのコンビニの通りに差し掛かったところで


「そこで下ろして」


そのコンビニを指差しバイクを操る奴に伝える。



そしてその通りにコンビニの駐車場へと入ったところで減速していくバイクがピタリと止まったところで、バイクから飛び降りヘルメットを外す。




「ありがと。じゃ」



余計な詮索はされたくないからなるべく手短に別れの挨拶を済ませて踵を返しここから去ろうと試みた。




「ちょっと待て」




右腕を掴まれ立ち去ることなんて出来なかったけど。




「何?」



仕方なく振り返れば先程の穏やかな顔とは一変して厳しい顔つきの彼の目は鋭くなってた。




「本当にここであってんのか?」



厳しい顔つき同様に声も綺麗な顔からは想像がつかないほど低く鋭い。


何も答えない私は少しの間彼の鋭い視線を受け止めるしかなくて。



「はぁ…質問変える。ここで大丈夫なのか?」




先に折れたのは相手だった。

そう私に問いかける声色は鋭さなんて含まれていなくて素直に心配しているような声色だ。




まあ、確かにそう言いたくなるのもわかるよ。


コンビニはまだしも、その横にあるさっき通ってきた道とは違う通りはもういかにも治安が悪いですと言っているような道。


そこに向かって歩き出したんだから止めたくなるのもわかる。



わかるけど、私の家、というかマンションはそこを通らなきゃ辿り着けない。



「うん、大丈夫。」



頷きながら答える私に対してまだ納得のいかないっていう顔をする奴はその後も何度も「大丈夫か?」と尋ねてくる。



帰りたいけど腕を掴まれている以上帰れないし、振り払って逃げたいけどマンションに入って行くところを見られ私の家を特定されてしまったら最悪だ。




何度かそのやり取りを繰り返したところで冒頭に戻るわけだ。