「サ、サクラちゃん!いいよ置いといて!俺が洗うからっ」
食べ終えた食器をキッチンの流しまで運んでそのまま洗っていれば、ティータイムをしてた寛人が慌てて駆け寄って来た。
私の手から食器とスポンジを奪い取ろうとする寛人を
「自分の食べたものは自分で洗うからいい」
と、有無を言わせずキッチンから追い出した。
それに私が使った食器以外の全ては既に数分前寛人によって綺麗に元どおりにされている。
食べるのが遅かった私が悪いのにわざわざ私の分の食器を洗わせるなんて手間のかかることはして欲しくない。
なんて綺麗事のように自分に言い聞かせているけど、その裏にはできるだけ借りは作りたくないという汚い考えが隠れている。
どう出てくるかわからない寛人を有利な立場にはしたくない。
今後がやりにくくなるのが目に見てえいるから。
洗い物をしている間ずっとそんなことを考えてしまった私はそういう考え方が身についてしまっている。
それを変えるなんて今更無理なこと。
自嘲的な笑みが溢れてしまう自分が嫌で嫌で仕方がない。
「じゃあ私帰るから」
洗い物を終えキッチンから出て鞄片手に出口へ一直線。
1人でのんびり帰るなんてことはできない。
きっと後から仁人あたりが「送る」とでも言いにくるから。
巻き込んだからそのお詫びとして送ってくれるならまだしも、こんな見た目の私でも一応、女。
何か事件に巻き込まれたりしたら危ないから送ってくれてるっていうなら笑っちゃう。
仁人が…貴方達が思ってるほど私は弱くないよ。
そんな呟きは私の心の中に消えていくだけ。
「あ。」
部屋を出る直前、1つ用事を思い出しクルリと回ってさっき座ってたソファーに近づいた。
けど目的はそこではなくて。
「悠麻、学校で私に話しかけないで」
あの状況を愉しんでる悠麻に言っても無駄かもしれないけど言うに越したことはない。
テレビゲームに夢中になっている悠麻の後ろに立って見下ろしながらそれだけ言うと、今度こそ部屋を出た。
