あたしが心を閉ざしていたとき、ある噂が流れていたらしい。
『翔流は綾菜のために綾菜を振った』
楓は翔流に真実を聞こうとした。
でも翔流は詳しいことを話そうとしなかったため本当のとこは分からなかった。
でも『綾菜のために』というのは否定しなかった──。
あたしはその話を聞いて理解しがたかった。
だってあんなに拒絶された。
あの時の翔流の冷たい目は今でも思い出すと泣き出したくなるくらいだ。
「楓…どういうことなの?翔流はあたしのこと嫌いになったんじゃないの…?」
楓は間を開けることなく答えた。
「それだけは心配ない。翔流は綾菜を嫌いになんかならないよ。」
そこまで言うと、懐かしむように優しく笑った。
「翔流がどんだけデレてたか知らないでしょ」
一呼吸して、
「だから綾菜にとっては辛い思い出だろうけど翔流のことは責めないでね。」
そう言った。

