~あれは、大雨の夜のことだった~




「お願いっ、お父さんもうやめてっ、」



「どの口が俺に楯突いてやがる!お前は黙って言うこときいてりゃーいいんだよ!」


そう言うと父は、何十回もただ私を殴り続けてくる。



数年前までは三人家族で、毎週父の休みの日曜日には家族揃って遠出するのが習慣だった。



しかし、母が他界した後、私の父は良く私に暴力を振るうようになった。



もう、2年以上経つ、


昔の父が優しかったせいか、私は警察に届けを出すことが出来ないでいた、



「たくっ、ふざけやがって、こんなに部屋が散らかっちまったじゃんかよ?さっさと片たせ!血の一滴も残すんじゃねーぞ!」


そう言うと父はお風呂へと向かっていった。



うぅ、痛い...


肩やお腹を抑えながら起き上がり周りを見渡した。


早く片付けないと...


ズキズキと痛む体おこして千夏はいつものように部屋を片付け始めた。



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「いってきます」


返事なんて来るはずのない家に挨拶をして学校へ向った。



腕、動かないや...



昨晩、父の蹴りがお腹を外れて私の腕に当たった、

あの時は直ぐに寝たから気づかなかったけれど、朝起きてみてみたらひどく腫れあがっていた。


まいっか、今冬服だし、長袖で隠れるよね



私にとって1番嫌なことはな事は他人にばれてしまうこと。

バレればきっと、父は警察に捕まってしまうから...


学校に近づくに連れ、段々と周りに歩く生徒の数も増えていった。


私はその中で1人、早歩きで皆の横を通り過ぎていった。






ズキズキと痛み続ける腕の痛みを我慢しながら歩いていると、後ろから声をかけられた。



「立花さーんっ?」


そう言って私の顔を後ろからのぞき込んできたのは、小鳥遊だった。


この頃の私は男子と関わりを持つのが苦手で、いつも冷たい態度を取っていた。
それでも颯斗だけが、なぜか毎回会う度に話しかけてくれてたのである。



「あれ?無視?傷つくわーっ、」


「無視じゃない、ただ返事をするのがめんどいだけで、ちゃんと聞こえてるから」


「それを無視っていうんだよ?立花さんは馬鹿なのかな?」


冗談半分で笑ってくる小鳥遊に、千夏は冷静に答え続けた。


「少なくとも貴方よりは馬鹿ではないよっ」


そう言って歩くスピードを早める


「まってよ、1人でしょ?一緒に学校までいこーぜ?同じクラスなんだしっ」


鞄を担ぎながら私のスピードに合わせてきた小鳥遊、千夏が必死で早く歩こうとしてるのに、余裕で付いてくる小鳥遊に少しいらっとしたのを覚えている。



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放課後、私の班は掃除当番だったため、教室に残り掃除をしていた。


「じゃーねー!千夏っ、気おつけて帰れよ~」



外から校舎に向かって手を振ってくれているのは凪咲、待っててもらうのは悪いと思って先に帰ってもらった。


「そーいえば立花さんはっ、俺が立花さんはより頭良くなったら、仲良くしてくれるんだよなー!笑笑」


は!?そんな事だれも!


「なにそれー!千夏そんな事言ったのー?うけるーっ」


同じ班の女子とまだ教室に残っていた女子、言いくるめると小鳥遊の取り巻き達が、颯斗の言葉に反応して私を見て笑ってきた。



「言ってないよ!なんで私が...」


少し言いかけた所で言葉は止まり、1人焦ってしまった。


すると小鳥遊が、


「そんな連れねーこと言うなよっ、な?別に良くね?」



自分勝手なこいつに嫌気がさした。




「あんたいっつも自分勝手すぎ!人の気も知らないで...」



そう言って教室を出て行こうとした時だった、



「まてよっ!」


そう言って小鳥遊は千夏の腕を掴み止めたのだ。



「痛いっ!!」


反射的に振りほどいたが、昨晩お父さんに蹴られたところを思いっきり捕まれ、つい声を上げてしまった。



すると、颯斗に群がっていた女子達が大げさに反応した私に一斉に牙をむいてきた。



「は、なんなの?颯斗はただ少し掴んだだけじゃん?大袈裟すぎない?」



クラスメイトの女子達が千夏をにらみつけている。


千夏は怪我のばれない言かんがえるか考えるが、動揺と焦りでなかなか言葉が言い出せない。


すると、小鳥遊が私と女子達との間に立ったきた。


「わりー、俺が力入れ過ぎたわっ、ちょと保健室行ってくる」



そう言って千夏の怪我のない方の腕を掴むと、教室から逃げる様に廊下へ引っ張られた。



教室の中からは小鳥遊を呼ぶ女子の声が響いていた。