電車から降りると、車内と違って外は結構冷えていた。



雨、強くなってきてる。



やっぱり颯斗に傘を渡しといて良かったと思い、少しホッとしながら歩き出す。


エスカレーターの列を突っ切って階段を上がり改札を出る。


そうだ、スーパー寄ってかないと、

製造子に何も無いのを思い出してスーパーに行く近道をして帰ることにした。



1人で使う傘は、これが普通のはずなのに、なんだか広い感じがした。



颯斗は今頃、何してるのかな...

ま、そろそろ家に着いた頃かっ


次第に強まっていく雨の音は、周りの雑音をすべてもみ消すくらい強くなっていた。


スーパーへ行く時は毎回公園を通る。それが近道だからだ。

いつも小さい子供たちが元気よく遊んでいる。


しかし、今日は雨のせいで子供たちはおろか、犬の散歩をしている人さえも居なかった。


誰もいない公園を見て少し心が踊り出した千夏は、ちょっとだけ滑り台を滑ってみることにした...。


懐かしいな、滑り台ってこんなに小さかったっけ?


子供用に作られた遊具なので、もちろん階段もちっちゃい。


登りずらい階段を頑張って上がり頂上に着く



濡れているせいか、想像以上のスピードに、思わず着地に失敗して尻餅をついてしまった。


「あーあ、お尻泥まみれ...制服どうしよう。」

なんて困り果てていると、鞄から携帯の着信音がなっているのに気がついた。


画面を見ずに電話に出ると、スマホの向こうから知らない女の人の声が聞こえてきた。


「もしもし?」


『もしもし、こちら〇〇病院の柿沢と申しますが、実は..._____________』





「嘘...でしょっ、」



女性の言葉に頭がスーッと真っ白になり、あんなに五月蝿かった雨の音が消えていく...


耳に当てていた携帯も、さしてた傘も全部、泥まみれの地面に落として立ち尽くしてしまった。




信じられない。



颯斗が、交通事故に巻き込まれたなんて...