学校に着くと、校門のところに颯斗の姿が見えた。



「颯斗ー!!」


数メートル前を歩く颯斗に向かって叫ぶと、びっくりした様な顔で颯斗が振り返った。



「お前、こんな晴れてんのに、なんで傘なんか持ってきてんだ?」


私の持ってる傘を見つけた颯斗が小馬鹿にするように言ってきた。


「今日、雨降る予感がしたから...。それに、天気予報では曇マーク付いてたし」


そう言うと颯斗は、天気予報より自分の見た景色の方が信じれるじゃん!と上を見上げて笑いながら言ってきた。


だから私は自分の感を信じたんだってば、


なんて思ったけど、そんな事は颯斗にはつたえなかった。


教室に向かって2人で歩きながら話していると、いつの間にか下駄箱まで辿り着いていた。


「じゃあ、今日雨降ったて傘貸してあげなーいっ」


千夏はそう言いながら、口を膨らませて鞄から折りたたみ傘を出して颯斗に見せる。


颯斗は少し驚いた顔をしたが直ぐに、


「ぜってー雨なんてふんねーから安心しろっ!」


そう言って颯斗は鞄を担ぎながら自分の教室まで走り去っていった。


絶対貸してやんないんだから!

そう思った千夏は少し乱暴に折りたたみ傘を鞄の中に閉まった。




あれ、でもなんで私、雨が降るなんて思ってるんだろ?


天気予報は曇だったし、夢だってただの夢だった訳で...



少し不思議な感覚に包まれたまま、千夏も教室へと入って行った