すると、彼女はわらった…

「間違いじゃないわ」

「あなた方の価値観と、私の価値観が違うだけ」


クスッともう一回笑みを溢すと、彼女は一瞬のうちに真顔になった

「合わせるなんて嫌。自分を殺すなんて嫌。正当防衛で殺してあげようか?」

「どうしてそんなこと簡単に口に出せる?」

彼女はため息を漏らした。

「当然じゃない。私は間違ってないからよ」

彼女は、僕に一歩詰め寄った。一瞬の悪寒があった。怖い、怖い怖い怖い…

「怯えることじゃないわよ」

顎を掴まれた。冷酷な鏡が僕を捉えていた。黒く、心のうちを見抜いたような瞳だった…

「うっ…」

僕から低い呻き声が漏れた。その衝撃だろうか、僕の瞼が閉じ始めた。彼女に全てを吸いとられていくみたいだった。

「…あなたも、所詮影の戯言だったのね。」

それからだ。僕は僕が解らなくなって、彼女の光がないと生きていけないカラダになったのは。