「着いた」


彼女が立ち止まった場所。

そこはうちの高校だった。



先程までここにいて、いつも通っている当たり前のような場所。

しかし、彼女にとっては懐かしい思い出の場所。


「懐かしい・・・変わってないな・・・」


ゆっくりと愛おしそうに見つめているその姿に、声をかけるのを躊躇ってしまう。


「中・・・入れるかな」


「とりあえず、入ってみようよ」


今度はこちらが先に歩き出し、彼女はそれに続くように後ろにつけた。



しかし、正門に入ったところで、警備員室から警備員が二人を呼び止めた。


「君は違う学校の生徒だよね?今日は違う学校の生徒の来校は、学校から何も聞いてないけど」


適当にやっているだけかと思っていたが、まさかここまでしっかりと仕事をしているとは思わなかった。

怒りにも似た警備員の表情に威圧され、言葉が出てこない・・・