もう一度だけ優しく


「ご無沙汰しています」

「大きくなったわね、ふたりとも」

「もう28になります」

「あの子が生きていたらこんなに大きくなったのかしらね」

「...」

「5歳だった妹がいるの知っているでしょう?もう今年で高校生なの。そろそろ帰ってくるわ」

というとちょうどよく「ただいま〜」という声が響いた。
ドアが開くと葵杏に良く似た子がたっていた。

その瞬間涙が溢れた。

「君が澄空ちゃん?」

「はい、もしかして柊希さんですか?」

「よくわかったね」

「お姉ちゃんの御見舞毎日来てたから...」

澄空ちゃんが彼女がここに生きていた証の様に見えた。