もう一度だけ優しく


インターホンを押す手が震えた。

「は〜い、待ってたわよ。太陽くんに...柊希くん...」

葵杏のおばさんが悲しそうな顔をしたのは間違いようがなかった。

「失礼します」

「あら、もしかして生葵くん?!」

「そうです、ずっとお会い出来なくてすみませんでした」

「いいのよ、無理もないわ」

「お線香あげてやって、きっと喜ぶわ」

目をつぶると蘇ってくる記憶。涙が溢れそうになるのを必死に堪えた。