ある日幼なじみから渡された1通の手紙。
読むと苦しくて、逃げ場がなかった。
自分の不甲斐なさを感じた。
綺麗な確かな文字で書かれたそれは美しかった。
平塚 柊希 さま
元気にしていますか?しばらく、会えていなくてごめんなさい。
私は今入院しています。理由は脳腫瘍。見つかった時にはもう手遅れだと言われ、余命はわずか半年と告げられました。
綺麗だった世界は色をなくし、音で溢れた世界も音をなくしました。
私の希望がそこにあるのならば君という光でした。
私は君に愛されていたことを知っています。私が居なくなれば君が涙を流すことを知っています。
ごめんね、だから私は君の前からきえました。何も言わなくってごめんね。
今でも病気は何も言わずとも進行していきます。そして、君がこの手紙を読んでいる頃私はここにはいないでしょう。
早く私を忘れてください。幸せになってください。きっと君なら大丈夫。素敵な人がいる。
少しだけ寂しいけど、見守ってるね。君が苦しい時はいいことあるように空から光をあげる。だから、私の10倍くらいは長生きして、私に世界を見せてください。
今までありがとう。大好きだったよ。
春賀 葵杏