神様のいない街


「あ、今日は寄りたいところがあるの。先に帰ってて」

わたしは葵にじゃあと言ってから教室を出た。
本当のところ、今日はまだ不幸が来てないからなんだけどね。

そんなことはさておき、わたしはどうしようかと考えながら廊下を歩いていた。

だって行くところないし。

ウロウロしてるのはおかしいだろうと思って、とりあえず空いている教室を探して歩くことにした。

そして辿り着いたのが、2Fの音楽室。

今はほとんど5Fの音楽室を使用しているから、誰もいなかった。
幸いなことに、この音楽室には鍵が付いていなくて鍵など必要なかった。

ガラガラガラッと古い音がして、わたしはそこに踏み込んだ。

「…電機電機…」

わたしは近くにあった電機のスイッチを入れて、辺りを見回した。
音楽室の端にはやはりグランドピアノがあり、かなり年季が入っている。

それから古びた楽譜に、ギター。
様々な楽器があった。

先生の許可は取ってないけど、でも少しぐらい大丈夫だよね。