神様のいない街


「…そう?何かあったら言ってね」

いつものように過ごしていれば、きっと些細なことで終わるから。
葵にだけは本当に心配して欲しくない。
葵と出会ってからずっと思っていること。

言いたいことがあっても、相談したくても、伝えたくても。

人間は言えない時があるんだよ。

それは誰もが分かっていて、分かってないことだ。

「うん」

わたしは短く答えた。