神様のいない街


「もう、奈実。涙目にならないでよ」

ただいま体育のドッヂボール中です。
わたしはまあまあ運動神経がいいから、避けながら葵と話している。

葵は怒ると怖いからみんな当てがらないけど、わたしの場合は別。

みんなしてわたしを狙ってくるのだ。
多分“王子様”となにか関係があるのかもしれないが、わたしは不幸の手紙の差出人など、興味の欠片もない。