神様のいない街


帰る仕度をして葵と教室を出た瞬間。

目の前には男子生徒の姿が。

「「あ」」

わたしは目があった瞬間、3階から猛ダッシュで階段を駆け下りた。
葵には悪いと思うけど、あの男子生徒には本当に会いたくないんだ。

問いただされたらどうしようって思うと、もう嫌だ。

「な、奈実…速いってば」

わたしはこれ以上ないくらい走ったから、葵を置いてきてしまったらしく、校門前でやっと合流できた。

「ご、ごめん…ついつい逃げちゃった…」

「人気者の男に好かれるとはね、ドンマイ」

「好かれてなんかないよ。昨日の続きを話したかっただけみたいだし、でもわたしはする気にはなれないからね」

わたしは息を上げて言った。