「まったくもう。奈実はそうやって逃げちゃうから追っかけられるんだよ。少しは懲りな」 「…だって、怖いんだもん」 昔っから男ってだけで逃げちゃうわたしだから、尚更怖く思える。 それに、厄介ごとはその後で、今日みたいに教室に来ることだってある。 中学の時はもう散々だった。 「…まあ同情はしてあげるけど」 「ほ、本当に…!?」 「だけど、もう少しは頑張ること!」 「…はい」 やっぱり葵には敵わないんだよね、わたし。