ひとりで帰る道は何故か寂しくはなかった。 それだけひとりの方が安心するのかも。 今日はまだ、不幸にあっていない。 今はそれだけが気になって仕方がなかった。 まだ学校の近くだ。 早く帰らないと、早く帰らないと、早く帰らないと…。 「…ね。…さっき…ピアノ、弾いてた子…?」 不意に声をかけられて、わたしはハッとして振り向いた。 同学年の男子生徒。 わたしはジリジリと後ずさりする。 異性だけは本当に苦手で、お父さんや兄は平気なだけで。